P34 TestCar製作記




Tyrrell P34 TestCar 1976

Base kit / TAMEO TMK208 : Tyrrell P34 SWEDISH GP 1976





PROCESS 1



まずは、キットの構成から・・ボディ、アンダーパネル、エンジン、その他主だったパーツはメタルです。
メタルの状態は良好。でも、最近のタメオのメタルって柔らかいんだよねぇ。加工は楽チンなんだけど、すぐ拉げるから気を付けてね。
あらら、フロント・ブレーキのダクトまでメタルパーツだよ。ご丁寧に車輪軸と一体だぁ。これは変更だな。
エッチング・パーツが2枚、フロント・サスアームはエッチングで上手く表現されているようです。タイロッドは線材に変更する事にしよう。
スタビライザーも変更だね。
ホイールはリアが挽き物でフロントはメタル・パーツ。メタルのホイールは苦労するんだよねぇ。要修正ってところかな。 あとの挽き物は、フロントのホイールロック部(こういう小さな所は結構ポイントになるから、ありがたいね)、ドライブ・シャフトの付け根(ブーツ?)、ファンネルの3点。
デカールが2枚(予備デカール付き)、チョット黄色がキツイ気がするけど我慢しようっと。
タイヤの出来は悪くないけど、ヒケが気になるからフジヤのタイヤに変更だ。

ボディ・フォルムはタメオらしく適度にデフォルメされていい感じ・・チョット気になるのがコクピット・カウルの正面側にフラットな面があること、サイド・カウルの形状かな。
コクピット・カウルは上部のアールは小さく下部のアールは大きくとりましょうね。手で撫でてみてエッジを感じなければOKです。削るときはカウルの傾斜が真っ直ぐに出るように必ずアテをしてね。消しゴムが便利だよ。
キットのサイド・カウルは結構四角いからね。フロント側はカマボコ型に近く、リア側は上面にフラットな面が少し残るような感じで修正しましょ。リア側のフラップ部は滑らかになるようにペーパーで修正して、 エッジを目の細かい金ダワシでなめるとFRPの折り返し部の表現が出来ますよ。(要は、エッジの角を取るってことよね)
これだけでかなりカッコ良くなりますよ。試してみてください。削るときは少しずつフォルムのチェックをしながらですよ。削り過ぎない様に!!
フォルム変更のコツは、デフォルメされているキットのバランスを崩さずに必要最小限おこなうことかな。
次回は、TestCarへのノーズ変更です。





PROCESS 2



TestCarに変更するためにはスポーツカー・ノーズとインダクション・ポッドを自作しなくてはなりません。 加工と複製が容易なレジン・キャストでパーツを製作します。プラバンで大まかな形を作りレジン・キャストで複製をとりました。
左側がスポーツカー・ノーズ、右側がインダクション・ポッドの型で、これらから削りだしてマスター型を作ります。(写真が見ずらくてスミマセン)
ボディはモノコックとノーズ間のスジ彫り部でカットします。カットには糸鋸が便利でしょう。 その際、スジ彫りよりノーズ側をカットしてヤスリで形を整えます。糸鋸の刃幅でモノコック側を傷つけないようにするための配慮です。



ノーズはこんな感じ。
NACAダクトとオイルクーラーのアウトレットの加工はまだですけど・・
インダクション・ポッドはエンジンが仕上がった後、バランスを見ながら製作です。

ボディにスジ彫りが足らないので追加しておきましょ。
コクピット・カウルとモノコックの分割部分とサイド・カウルとモノコックの分割部分です。スジ彫りの追加にはカッターで先にアタリを付けてから行うと真っ直ぐなスジ彫りが可能になります。 何度もなぞるように深さを取っていきます。
コクピット・カウルとモノコックの分割部分は逆エッジのため塗装の際、埋まる可能性があるので幅と深さを少し多めに取りましょう。





PROCESS 3



パテ盛りしては削っての繰り返しで、ノーズの原型の完成!!
自分では上出来と思っていますが、如何ですか??
目止めの為にサーフェーサーを吹きました。
これからシリコン型を作って複製します。

標準型のノーズと比較の図
なんでTestCarノーズを標準型にしなかったんだろう?
個人的にはTestCarノーズにそそられてしまうのだけど・・
(やっぱ、俺ってヘンなのかな?)





PROCESS 4



シートパーツ複製の段階図
左からキット状態(背もたれ部にハンダで肉盛りしてあります)、修正後のキットシート(原型)、複製シート、オリジナルシートパーツの完成

というわけで、今回はシートパーツも複製しました。(2台製作しているので同じものが必要だったから)
実際、キットパーツはシート部の彫りが浅くケツの据わりが悪そうです。シートベルトを通す穴も省略されています。 その辺をキッチリ修正してっと・・・。それから、実車には軽め穴が無数に開いていますので是非再現したい部分ですね。


ボディ部の仮組みです。

ボディの追加修正はヘッドレストの形状修正、給油口の追加です。





PROCESS 5



マスター(原型)を元に複製を取りました。
キャストの流し込みの際に空気溜りが出来ないような向きを選んでシリコン型を取ります。下側からキャストを注入出来るように湯口を作ると 空気溜りが出来にくくなります。
また、シリコン型の最上部と空気溜りが予測できる所には逃げ口を取っておきます。


左図:インダクション・ポッドの原型・複製・完成品です。

下図:ノーズの原型・複製・完成品です。





PROCESS 6



さて、小物パーツの製作です。ポイントとなるパーツを選んでディティールアップを施します。
今回P34で手始めに選んだのは、コクピット背後にあるオイルタンクです。キットパーツではリアのバルクヘッドと一体でインパクトに欠けますし、大きさもイマイチでしたので洋白板にて自作しました。 (このパーツ変更に伴いモノコック後部の燃料タンクの製作も必要となってしまいました・・・(T_T)。)

キットパーツの修正で一番手を焼いたのがコレ。パーティングラインでずれて鋳造されてんだもの。(画像では分りにくいですね。残念・・) 幸いにもパテは使わずに削りで修正できたけど、まいった。小さいし、数は1台4個もあるし・・・(6輪だから当たり前ですね。)しかも後で'77仕様のキットあたりからフロントホイールも挽き物になったって聞いて、マジ泣けたです。
タイヤはフジヤ製に変更しました。オシャレは足元からってね。

フォードDFVエンジンの組み立て途中画像です。
エンジンの塗装は質感を重視します。サスロッド類は線材、真鍮パイプで製作です。マフラーもパイプ材に置き換えています。
キットではダンパーはメタルパーツなのでタメオの別パーツを加工しています。
これから、スタビライザとミッションエンド部の製作します。





PROCESS 7



塗装後のボディ、エンジン、その他のパーツの最終仮組みです。(接着剤は使用してないので仮置きですね。)
この時に最終的なバランスチェックを行います。また更なるディティールアップに必要な小パーツを全体のイメージにあわせて製作します。 モデルの見せたいポイントを効果的にディティールアップする事がカギになります。


下の3枚の画像は作りこんだフロント部分です。今回のモデルはプロポーションですからカウルを被せてしまうので、この程度の作り込みならば隙間から覗くディティールアップ として大丈夫かと思います。詳細は、ロールオーバーバー、スタビライザー、ステアリングシャフトは洋白線、ペダルは洋白板、モノコックパネルはアルミ板(コレが無いとロワサスアームのエッチングが丸見え)、 メーター部は真鍮材やアルミパイプで製作、サスアームはアッパー側のタイロッド接合部はエッチングパーツを元に立体的に直してます。 また、サスダンパーはメタル製(涙;しかもコイルと一体)なのでアルミ材から製作しました。ブレーキダクトも変更しています。(だって、キットではメタルの棒なんだもん)
さて、次回はやっと完成形の紹介となります。






PROCESS 8




お待たせしました。やっと完結です。なが〜い道のりでした(^^;
各パーツの接着にはエポキシボンド、瞬間接着剤などをを用途にあせて使用しています。爪楊枝や針先などで適量をすくい取って接着面につけるといった定番の方法です。
今回のようにボディパーツ(ディティールに影響する大きなパーツ)を製作することでの注意点は元パーツ(キットパーツ)とのバランスです。 各メーカーごとに良い意味でのディティールの癖(個性)というものがありますので、その点をスポイルしないように自然な融合を心がけます。あとは、思い入れですね・・コレ結構重要です。 ボディ色については、黄色のキツいデカールや黒色のパーツとのコントラストを考えて少し明るめのブルーで仕上げました。(日光下の実車というイメージですね)
今回でP34 TestCar製作のレポートは終了となりますが如何でしたか?製作技術というよりモデルカーの表現方法を重要視したつもりなのですが伝わりましたでしょうか? モデルカーも他の模型同様、各パーツの集合体です。それをプロデュースするのは製作者です。それぞれの感性での表現方法があると思います。
そのあたりを楽しんでモデルカーを製作してみてください(^^)








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